病気や症状に関する話題はとてもデリケートな内容です。鍼灸師である筆者の知見であることをご理解のうえお読みください。
今回はいわゆる花粉症についてお話します。
花粉症の理解と対策について
アレルギーとハッキリわかってから対処しましょう
まず花粉症と自己判断している方が多いと思いますが、まずは耳鼻科または内科でアレルギーによるものだとハッキリさせておきましょう。つまり、自己判断ではなくしっかりと原因(状態)を医療機関にて確定させておくことが大切です。
春になると鼻がつまる、花粉が多いと聞いて目がかゆい
自己判断では他の病状と似ていることがあります。見当違いの対処を長年続けていても良くなることはありません。良くなったとしても偶然ですし、違う症状を悪化させることもあります。ですから、自己判断だけで何となくよくなって、何となくいいかな、というのでは怖いことを理解してください。
お薬が嫌いだという人もいますが、お医者さんや薬剤師さんとしっかりコミュニケーションを取っていくことも大切です。好き嫌いではなく、専門家としてしっかり助言を受けましょう。
花粉さえ無ければ?
花粉症というネーミングからすると「花粉さえなければ…」と思う人も多いと思いますが、花粉はアレルギー反応のひとつでしかないと考えます。ホコリやダニの死骸、ダニのフンといったハウスダストでもアレルギー反応は起こりうるのです。
この投稿は花粉症でお困りの方が少しでも軽減する方法をお伝えするものですので、医学的なお話しは大幅に割愛します。免疫について知ることは大切ですが、その知識とは別に軽減する方法のアイデアをお伝えしていきます。
東洋医学で考えてみると
まず基本的に症状が発現するには「下地」と「きっかけ」の2つの要素があると考えます。
ですから下地の基礎的な体調が万全であれば、それほど症状がキツくなることは避けられるといいます。
なかでもアレルギーを悪化させる要因は3つ。
- ストレス
- 過剰糖分
- 睡眠不足
よくアレルギーは早めに対処すれば軽く済むといいますが、それもそのはず。花粉症など体が即時に反応する症状は、それ自体がストレスになります。発散のために糖分を欲します。そしてかゆみ・イラつきで眠りの質が悪くなります。このようにアレルギーを悪化させる要因すべてに影響するのです。
こうしてアレルギー症状を悪化する行動が再生産されるのです。
ですから、ストレスはためない、甘いものをほとんど食べない、しっかりとした睡眠を確保するというのが基本中の基本になります。また同じリズムで生活をすることによって体内時計を安定させ自律神経の安定に役立ちますので、夜ふかしや朝寝坊はしないように心がけましょう。
根っこの問題
花粉症は、目のかゆみ、鼻水・鼻詰まり・鼻の乾き、喉の痛みなどさまざまにあります。
それでも基本的には腸の解毒障害と考えます。
アレルギーに断食が良いとされるのは、そういう意味(腸の負担を減らす)では理にかなっています。(ここでは専門家の指導なしに極端なことを行わないでください)
断食をせずとも胃腸に負担をかけないために確認することはたくさんあります。
- よく噛んでいるか(急いで食事を終えていないか)
- 噛めるものを食しているか(麺類が多くないか)
- 空腹の時間がしっかりとあるか(たとえ少量でも胃腸は全部働く)
薬膳や食養生など話題になりますが、それらは食べる物の話しが中心になりがちです。食べ物だけではなく食べ方、食べないことなど大切な観点がありますのでこの機会に反省しておきましょう。
かゆみは冷やす
目がかゆい、小鼻がかゆいといったときに目やまぶた、鼻や皮膚をこすってはいけません。こすることで摩擦して熱を持ちます。その熱によってよりかゆみが悪化します。
おしぼりやタオルを水に濡らし、よく絞ってかゆいところに当てておきます。熱感がおさまるとかゆみも軽減します。
また目がゴロゴロする場合は、両目を閉じてゴロゴロしない方のまぶたを数回さすります。すると両目が涙で潤いゴロつきを解消できます。両方ゴロゴロするときは、少し時間を待ってから片方ずつ対処することになります。
せっかくだからお灸をしよう
印堂(※1)を基本として、合谷・手三里の反応の強い方、そして女性で足の冷えを実感するのであれば三陰交、冷えを実感しないのであれば照海とだいたい4箇所(印堂以外は左右のツボ両方)。
また誰かの助けを借りて首と背中の境目くらいの大椎(だいつい)というツボも有効です。この部位はヘアドライヤーで軽く温めたり、シャワーでお湯をあててみるのも有効ですのでお試しください。

両眉のあいだに「印堂(いんどう)」
※1 印堂は眉間の間です。両眉と鼻筋の交点になります。インド人(ヒンドゥー教徒)の額の赤い印は「ティーカ(Tika)」と呼ばれるものでお祈りのための神聖な印なのです。その部位に台座のお灸を1つ毎日すえることを基本と考えてください。
さいごに
鍼灸師が花粉症に対処する方法はさまざまです。ここでご紹介したことは理論もありますが、施灸(せきゅう:お灸を行うこと)しやすい部位であり、効果が期待できることをお伝えしています。
ですから鍼灸師の方からすると不満があるかもしれません。
もちろん、私の臨床が以上に掲げた処置だけで行うものではありません。一般の方がご自宅で継続していくうえで、このような対処を行うと少しでも症状を軽減できるものだと確信しています。
「すぐに症状を無くす」というのは理想ですが現実的ではありません。ひとつづつ悪化する要因を取り除き体調を整えることに注力しましょう。そして下地の体調を安定させることでキッカケがどうあろうと最小限の影響に留めることが可能になります。
マツモト コウイチ
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