人類は数多くのパラダイムシフトを体験してきた。火の使用、車輪の発明、火薬、蒸気機関、電気、半導体…。
ビットコインは何を変え、何を生み出すのでしょうか。人類はさらなるプロペラント(推進力)を得てどこに向かうのでしょうか。
第8話 町おこし、地域通貨は頓挫する
私はずっと地元で仕事をしていたこともあり、町おこしに興味を持っていました。
「地域通貨」という概念で町おこしに挑戦している自治体やコミュニティが多くあり、またそれらの多くは失敗の憂き目にあっていたという事実も以前に調べたことがありました。
もともと地域通貨という言葉はちらほら聞かれているものでしたが、日本国内では失敗ばかりが目立ち、99年にあった地域振興券という日本政府の政策もあまり良いイメージはありません。
地域通貨に関していうと、使える店舗が市内や町内などで地域で限られているために使い勝手が悪く、持っていてもすぐに使うか、持っていたくないという心理が働きます。
「1万円分のりんご」と「1万円分の金貨」なら、傷まない金貨の方が価値を持ちますから、誰しも早く金貨にしておきたいと思うものです。この点で地域通貨は普及することが難しいのです。
そこには、通貨の普遍性が必要であり、誰かの保証があれば普遍性に近づくのではないか、さらには強大な力で保証すればより信用が高まるという常識というか考え方に至るのも自然のことなのです。
さらには、この通貨としてのスケール感がいまでもビットコインで「何店舗使えるか?」という尺度になっている気がします。実はビットコインは世界的に使用可能な信頼を得ている点が革命的なのですが、利用できる商店を競争するのは、昔の商品券やクレジットカードと同じ視点で金券同様の活用方法と認識している点が透けて見えます。
当時はビットコインの技術的な側面を知ることなく、また革命的な価値に気づくこともなく、ビットコインの活用は面白い試みだなと記憶の片すみに置いておく程度でした。
当時の私はビットコインと地域通貨の違いすらよくわからなかったのです。
このことがずっと頭に残り、やがて私のなかで金融とは何か、おカネとは何か、信用とはなにかという漠然と知っているつもりになっていたものをあらためて考える機会を得たのです。
もちろん、今思えば、なぜビットコインに投資をしたのかなんて覚えていないようなもの。ただ実際に使ってみたいという好奇心の方が先立っていたかもしれません。
何をするにも授業料。ましてや場合によっては利益になる可能性ともなれば安い授業料に違いない。そう思ってさっそく取引所に入金をするのですが。
当時の状況では、自分の持ち合わせたお金もたいして多くなかったのですが「一生分の宝くじを買ったつもり」と自分で覚悟を決めてビットコインを購入することにしました。もちろん、ビットコインを買ってからというもの今の今まで宝くじは一切買っていません。そして、これからも宝くじは買わなくて済むでしょう。
(つづく)
マツモト コウイチ
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