東洋思想の中核をなす陰陽論をビジネスに活用できるようにビジネスパーソン向けにお伝えしています。第4回目は陰陽にわけることだけではなく、わけてからどう考えるか?ということについて言及して参ります。陰陽がなぜ様々な事象に応用できるのかという興味深い点までお話ししています。ぜひご確認ください。
本文を読むのが面倒な方、BGM代わりに動画再生をしたい方は最下段にあります動画を聞き流していただければと思います。
中庸の原理
あなたがイメージする宇宙とは?
陰陽と宇宙のことわり
この世界で存在しているものは人間も含めバランスを維持しているものだけ。
バランスを失うときすべてのものは消滅・破滅・破綻する
(病気はバランスの原理から外れた最たるもの)
しかしながら、時間軸に大きなズレがあり、すぐに消滅するわけではありません。変化があまりにもゆっくりしているものは変化が無いように思えてしまいます。大きな流れをつかめるようになると発展しているのか、衰退しているのかよくわかるようになります。
ですからどのようにバランスを取っていこうかということはビジネス面においても大きなテーマになるのです。
中庸という大切な基準
中庸という言葉は『論語』のなかで「中庸の徳たるや、それ至れるかな」という文献が初出です。
四書五経に数えられる『中庸』はもともと『礼記』の一遍です。それほど大切な教え・哲学的な中心的概念だと考えたのでしょう。
中庸は中間・平均値・足して二で割るというものではありません。
中は偏らない、庸は「常に」という意味を含んでいます。
スケール普遍性という特性
陰陽論は人類が考え出した最古の分類法とも言われています。
この陰陽論によって自然界だけではなく人間界の構造も飛躍的に解明されることとなります。
陰陽論の原理は自然界だけの事象を相手にしたものでもなく、また人間の心理だけを相手にしたものでもないのです。ですから様々なものに応用発展できます。そして、ここではビジネス活かすことによって陰陽論をマスターしていこうと主張しているわけです。
ものづくりやアートの現場では「神は細部に宿る」という言葉を耳にするかもしれません。
細部にまで心血を注いだプロダクトは、多くの人を感動させ支持されるものになるだろうという経験則を踏まえての言葉だと思います。
また似たような言葉で東洋思想として「一事が万事」という言葉もあります。一つを知ることですべてが理解でき、またすべてを知ると一つのことが深く理解できるという意味です。
マクロでもみてミクロでみても、その本質が変わらないものを「スケール普遍性」といいます。
数学やコンピューターサイエンスではフラクタル構造とか自己相似・再帰などと言われるものです。
海岸線を地図で確認してみてください。どれだけ拡大しても同じように複雑に入り組んだ形状が現れるだけです。縮尺を変えたところで似たような形状に違いはありません。
ほかにも血管の分岐や腸の内壁、株価のチャートなど縮尺を変えたところでその本質があまり変化しないものがあります。これらフラクタル構造は自然科学の新たなアプローチ手法として注目を集めています。
おどろくべきは、陰陽論としてその本質はスケール普遍性に則ったものだということなのです。
つまり、逆にいいますと陰陽論をビジネスに応用できるようになった暁には、仕事だけではなくプライベートや趣味、生き方や自分のビジョンなど陰陽論のエッセンスが簡単に応用できるようになっているわけです。
それは小手先のテクニックで言っているわけではないのです。深く考えれば深く物事を予見することができます。簡単に見渡せばある程度の予見が可能になります。
中庸の原理も実践してこそ
東洋思想は実学であり、実学は実践してこそ価値があるものと理解されるのです。
ここでも陰陽論を理解し中庸の原理を守ることで大過不及(多すぎたり少なすぎたりする失敗)を防ぐことが可能になります。しかも、当たり前のようにできていくわけです。
始めは意識して物事を捉えて進みますが、それが自然に判断基準になったときには、これほど使い勝手の良い思考法はないことに気づくでしょう。
とにかく「役に立つ」ということがありますので、このメリットを最大限に発揮するように言葉の一つ一つを確認して、実際に役立てていただきたいと思います。
ビジネスとして結果が出ればその正当性が理解できるだけではなく本当のメリットを享受できるのですから、学ぶことも更に楽しくなるでしょう。
第4回まとめ
陰陽に分類しただけでは本当の魅力は伝わらないと思います。まずは中庸に落ち着くことを判断基準としてビジネスを構築していきましょう。目立ちすぎても飽きられるのが早くなるだけです。全体的、客観的な視点にとってサービスやプロダクト、そしてプランを検討してみてください。
そして中庸というものがなんでも無難な平均値ではなく、状況や環境、戦略によって陰的に振れたり、陽的に振れることによって主体的に影響を行使できる素晴らしい判断基準だとご理解いただければ応用発展すること間違いなしだと強く主張したいと思います。
マツモト コウイチ
最新記事 by マツモト コウイチ (全て見る)
- 車に興味の無い自分がテスラモデル3LR購入を決断するまで - 2021年6月15日
- [ビジ活陰陽論04]中庸(ちゅうよう)の原理 - 2020年4月1日
- [ビジ活陰陽論03]陰陽の分類を自在におこなう - 2020年3月25日