東洋医学、東洋思想を学んでいるとその歴史や文化に興味を持ちます。
いや、持たざるを得ません。
現代の価値観だけですべてが同じではないからです。そのような意味で考古学のようなワクワクもありとあらゆるところに散りばめられており、なかでも「漢字」はワクワクの宝庫です。
今回はちょっとしたワクワクをご紹介します。
身近な漢字に持つ疑問
同じ文字が入っている?
ここのところ、日本でも高温が続くと異常気象なのかと不安になることが多いのですが、古代の日本でも中国でも四季という概念は共通していたようです。
この四季、いわずとしれた春・夏・秋・冬、、、そして再び春と季節は巡るのですが、
どうでしょう、この春夏秋冬という漢字を見て何かピンと来たことはないでしょうか?
私の場合は、夏という漢字と冬という漢字に注目しました。
夏と冬。
どちらも「夂」という文字が見当たります。
あれれ、夏でも冬でも? そう思って調べ始めたことがありますのでご紹介します。
なんだこれは
夂 ← これはなんと読むのでしょう?
これは「ふゆがしら」と呼ばれるもので、文字もそのまま「冬」という漢字の頭になっているわけです。
夏の場合は、本来は「夊」と書いて、なつのあし、すいにょう、のまたかんむりなどと呼ばれるものです。
ただ、厳密な違いを言えば完全に別ものなのですが、常用漢字という枠組みで似たものを統一したという経緯がありました。このあたりは、文字の正当性ということと、文字としての習得状況を考えたうえでは、とても難しい判断だと思います。
もう一度いうと、本来は別物、便宜的に同じもの。という扱いなのです。
発生は違うようですが、意味はそれほど違いがなく、足に物が挟まって素早く自由に動けない状態を表現しているといいます。
ですから夏は「暑くて動けない・動きがにぶい」、冬は「寒くて動けない・動きがにぶい」ということになります。
氵(サンズイ)は水を表すことは知られていますが、冫(ニスイ)は氷・氷結を表します。
ですので、冬という漢字はニスイで動けないのですから、寒くて動けないという季節です。
ちなみに、寒いという文字も宀(うかんむり)が家を表し、真ん中の画数は布団で寝ている人を表現しています。家の中なのに凍っているという意味のニスイがあります。家の中で布団にくるまっているのに周りは凍っているのですから「寒い」わけです。
考えただけでも寒々しい。。。
というわけで、繰り返しますが
夏は「暑くてゆっくりじゃないと動けない」、冬は「寒くてゆっくりじゃないと動けない」。
このゆっくりじゃないと動けませんよ、という意味が共通している夊(夂)であり、常用漢字として同じ「夂」に統一となったのでした。
ここで終わらないのが漢字の良いところ
さて、動けませんよが「夂」なら、他にもこの漢字が使われたものがなかっただろうか、と応用編を考えてみたいもの。
すぐに思い浮かぶでしょうか?
たとえば、変。
変というのは、変化の変ですね。変も化も英単語でいえばChangeということです。確か変化の変は変わっている途中、変化の化は変わった後だったと思いますが、このように変化の変にも「夂」が使われています。
このことから、古代中国人は、物事の変化はゆっくり進むと考えたのでしょう。
ちなみに革命の革も、真ん中が「中」その上に廿(漢字で二十)があり、下に十があります。つまり革命、変革するにも30年がかかるよ、と言っているとかいないとか。そういうメッセージが込められていると読み取ることもできます。
他にも恋愛の愛なんていうのがありますね。
恋愛トークが好きな人は、愛は真ん中に心(まごころ)があって、恋には下にこころ(したごころ)がある、なんていいますが(そういうのは専門外なので話は続けますが・・・)
愛にも夂が使われています。
お気づきですね。
愛はゆっくり育まれるものだと古代中国人は考えていたのです。(恋に関してはコメントを控えます・笑)
さいごに
私たちは気がついていませんが、何気ないメッセージを数多く受け取っているのです。
日本人が漢字文化のなかにいることが、どれほど教養豊かなのでしょうか。
古代中国人の価値観を少しでも現代的に活かせれば、人間として同じ過ちや同じ苦労を減らすことができるのかもしれないとさえ思います。
まずは漢字という文化的なメッセージを単なる記号と思うのではなく、興味の入り口にしていただいて、歴史や文化・伝統というもので祖先の価値観を共有することも大切な教養なのではないかな、と思いご紹介しました。
さいごになって恐縮なのですが「諸説あります」でお願いします。
私が調べられる限りのことを書いてありますが、学者先生と意見が分かれることもあるかもしれませんので、その一文があることを付記させていただきます。
ぜひ漢字に興味を持っていただき教養が役立つことを願っています。
マツモト コウイチ
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