プロペラントBTC 第7話 2013年 キプロス危機

 

人類は数多くのパラダイムシフトを体験してきた。火の使用、車輪の発明、火薬、蒸気機関、電気、半導体…。

ビットコインは何を変え、何を生み出すのでしょうか。人類はさらなるプロペラント(推進力)を得てどこに向かうのでしょうか。

 

第7話 2013年 キプロス危機

 

私がはじめてビットコインの存在を知ったのは2013年から14年初頭のNHKの特集だったと記憶しています。当時の私の関心はビットコインではなく、ユーロ圏の小国キプロス共和国の経済危機でした。

キプロス危機はキプロスショックとも言われ2009年のギリシャショックを遠因としてキプロスの銀行融資や債券投資が大きな損失を招きます。その経済的混乱に対しEU(欧州連合)やIMF(国際通貨基金)に助けを求めた経済危機のことを言います。

主要産業が観光しかない小国キプロスは国の発展を金融に託しました。

その結果キプロスはGDP(国内総生産)がユーロ圏全体の0.2%でしかないにも限らず、銀行資産はGDPの8倍、預金残高は4倍にも達しました。

ギリシャショックにより各国の経済が衰退するなか、キプロスも無傷ではいられませんでした。金融立国への道のりは、ギリシャショックから立ち直る過程で頓挫します。

もともとギリシャと経済的関係が深かったキプロスは銀行資産の3分の1がロシアマネーだと言われていました。しかも、そのロシアマネーも多くは資金洗浄(マネーロンダリング)が疑われていたのです。

そのためEUに支援を求めたものの救済側のドイツやフィンランドが厳しい支援策を提案しました。

この預金者に厳しい対応はEUでの悪しき前例になるかもしれないという意味でEU各国に不安を与えるものでした。

結果的にキプロスはこの厳しい支援策を飲み、2015年には銀行システムは正常化を迎えることになります。このようにキプロスという小国は金融危機により国民生活まで大きな影響を与えることになります。

2013年当時、キプロスという小さな経済圏が完全に行き詰まっているなか、市民の生活に目を移すと市場では物々交換が行われていました。そして、その手段のひとつとして市民はビットコインの活用をはじめていたのです。

NHKの特集でもケータイを片手に市場でビットコインを使って売買をしている場面が映っていました。日本では以前ご紹介したように円天事件が記憶に新しく、ビットコインという存在はまだよくわかっていませんでした。

それでも混乱のなかでもたくましく市民生活を送っている姿に異国ではあるものの妙なリアリティを感じました。

日本は恵まれているのが偶然なのか、世界的な混乱は本当に回避できているのかそのような怖さとともにビットコインというものの仕組みに少しずつ興味を持ったときでもあります。

 

(つづく)

 

 

 

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マツモト コウイチ

東洋思想研究家でありUdemy講師でもあります。開業15年超の鍼灸師です。ビジネスから教育、エンターテイメントまで多くの人の成功と挑戦を東洋思想家として見渡しています。すべての投稿に関して講義講演が可能な内容となっています。居敬窮理(振る舞いを慎み、道理をきわめて、正しい知識を身につけること)を実践していこうと思います。

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