人類は数多くのパラダイムシフトを体験してきた。火の使用、車輪の発明、火薬、蒸気機関、電気、半導体…。
ビットコインは何を変え、何を生み出すのでしょうか。人類はさらなるプロペラント(推進力)を得てどこに向かうのでしょうか。
第6話 2012年 円天事件 刑期確定
私がビットコインの説明をしていた当時(2015-16年頃)、多くの人に引き合いに出され誤解されたのが円天事件です。
円天事件は疑似通貨とされた円天を使用して出資額以上の買い物ができたり、高利回りで有利になるという触れ込みで全国で主婦らを中心に5万人以上を騙した詐欺事件です。この詐欺事件で集めた金額は1000億円を超し多くの被害者を出しました。
ビットコインの技術的な革新性を言うより、投資対象という面を言うと、その当時の話題ではすぐに円天事件と同列に考えられました。この詐欺事件も日本人がビットコインに対する印象を悪いものにした残念な出来事だと私は記憶しています。
ビットコインは発行主体が存在しないのが特徴ですので、絶対に儲かると誰かが保証することはありません。逆にいうと、絶対に儲かるというものであれば擬似通貨であろうが、仮想通貨であろうが投資対象にはならず、それは簡単にいうと「詐欺」でしかありません。
今でもビットコインの経緯や将来性を説明しつつ、最終的には詐欺コインを販売するセミナーがあとを絶ちません。
いまでこそ、ビットコインの取引所が日本語で簡単に売買でき、またビットコインを使用できる店舗、企業も増えてきました。
日本ではまだ投資(投機)対象としてしか知られていませんが、何が革命的なのかを徐々に知るうちに本当の意味での投資対象の価値に気づくかもしれません。
いまだに振込詐欺が横行している日本のことです。いくら金融リテラシーの向上が求められても、安易に詐欺にひっかかるか、その反対に一切受け入れないという方針でガッチガチに縛り付ける人が多いのも事実。
世の中の進歩は一直線ではありませんが、いつまでも同じ場所に踏みとどまっていることは不可能です。いまではパソコンが当たり前のように一家に一台以上あり、インターネットに接続する環境が整っています。
近い将来、ビットコインはビットコインとして姿を見せなくても、代表的なブロックチェーンとして社会インフラの多くを占めるまでになるでしょう。
良いもの、悪いもの。投資をするならそれらを的確に選別する目を養いながら、自分を高めていく必要を感じます。それはこれからもずっと同じことでしょう。自分の器が無くして大金など抱えられるはずはありません。振り回されるくらいなら無いほうがよいと考えたほうが幸せでいられるかもしれません。
それでも未来は確実にやってきます。少しでも学び、自分を豊かにする一助にしたいものです。
(つづく)
マツモト コウイチ
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