しつこい便秘をお灸で解決!

Image by 12019 on Pixabay

病気や症状に関する話題はとてもデリケートな内容です。鍼灸師である筆者の知見であることをご理解のうえお読みください。

今回はいわゆる便秘についてお話します。

 

便秘の理解と対策について

個人差が大きい便秘

 

便秘は「排便が順調ではない」という症状を表す言葉です。病名ではありません。

排便の頻度は個人差があります。通常は成人では1日に3度から3日に1度の幅があります。3日以上間隔があいて1度の排便であっても本人が順調に排便できていると実感すれば便秘とは言いにくいものです。

一般的に男性は軟便・下痢が多く、女性は便秘が多いです。理由はさまざまですが女性の場合は筋力が弱いことだけでなく骨盤内の臓器(子宮・卵巣など)が男性よりも多いことから複雑でありまた圧迫することも考えられます。

また高齢者にも便秘で悩んでいる方が多いものです。高齢者は筋力が弱いことや薬を服用していることによって腸内細菌のバランスが崩れやすく、そのために便秘傾向になります。

 

消化吸収から排便まで

 

まず人体で飲食物の通る経路を確認してみましょう。

食べたものは口の唾液によって最初の消化液と混ざります。

次に食道から胃に進み胃液と混ざり糜粥(びじゅく:食物が胃の中で消化されて粥状となったもの)となります。食べものが胃に滞在する時間は平均2~3時間です。(肉や天ぷらなど脂肪分の多い食べものは4~5時間かかります)

糜粥は十二指腸に送られそこで膵液と混ざります。膵液にはさまざまな消化酵素が含まれており小腸で栄養が吸収されやすい形に変わります。

小腸に送られた糜粥は5~8時間かけてここで水分と栄養分の80%が吸収されます。

次に大腸に送られ、そこで15~20時間かけてさらに残りの水分が吸収されます。繊維質などの残りカスは、徐々に固形化されて便となります。

最終的に大腸の終点である直腸まで水分を吸収され便が形作られます。

タイミングをみて肛門から排泄されます。食べたものが排泄されるまでの時間は個人差がありますが食後24~72時間で排泄されれば正常です。問題ないと考えてください。

 

 

便秘の原因とは?

 

 

便秘は大きくわけて機能性便秘と器質性便秘があります。

ここでお話しする、いわゆる「普通の便秘」は機能性便秘に分類されます。

器質性便秘とは腸閉塞や腸捻転、大腸ガンなど腸そのものの異常によって便秘になることを言います。

 

普通の便秘が分類される機能性便秘のなかでもいくつかにタイプが別れます。

 

弛緩性便秘

便秘の約6割~7割が弛緩性便秘だと言われています。弛緩性便秘とは大腸の便を直腸の方へ送るための運動(蠕動運動)が弱いために起きます。高齢者やお産を経験した女性に多くみられます。

 

痙攣性便秘

痙攣性便秘とは、なんらかの理由で腸のぜん動運動が強くなりすぎてしまったために起こる便秘です。うさぎのフンのようにコロコロとした便になります。常にストレスにさらされている場合に多くみられます。

 

直腸性便秘

通常、排便の際に息むと腹側から直腸に力が加えられます。そして肛門の方へ便が押し出されます。しかしながら、直腸性便秘では息んだ力が直腸瘤などの影響で肛門に力がうまく伝えられずに滞留してしまうものをいいます。また便意を我慢しつづけると排便しにくい状態になり、これも直腸性便秘といいます。

 

病気を疑うもの

大腸ガン

どうしてもここに書いておかなければならないほど大腸ガンは増えています。原因は不明といいながらも食生活の欧米化に日本人の体格(胴長短足=雑穀食にあった内臓)が合わないことなど考えられています。

またすぐに癌というわけでもないですが、便秘を気安く放置して重大な疾患を見逃すことがないように注意喚起の意味で書いています。

また肛門から出血(排便時の出血)を眼で見て出血と分かる場合はだいたい痔出血なので癌の可能性は低いものです。腸からの出血はチョコレートやコールタール、ワカメのような色なので一見して出血とわかりにくいものもあります。ですから便秘だからといって驚く必要はないのですが楽観して重篤な疾患を見失うことがないように注意喚起する必要があるのです。その点、ご理解ください。

腸閉塞

腸閉塞は腹部を開腹する手術をしたことがある人(おそらく高齢者に多い)は起りやすことを考えておきましょう。腸と腹壁、腸同士の癒着が起こります。多くの場合は激しい腹痛と吐き気・嘔吐を伴いますので思い当たる人は医療機関に受療するようにしましょう。

 

東洋医学で考えてみると

 

人体には経絡という気血の流れがあると考えます。(血液ではなく気と血、つまり気血と考えます)

気はさまざまな機能があり、血はそれを運ぶ器と考えます。(鍼する左手灸する右手「気ってなんなの?」

 

その気の働きのひとつが内臓それぞれをしっかり機能させることになっています。

 

また五臓六腑はそれぞれ臓腑として関係性が強く大腸は肺と表裏の関係とします。つまり、呼吸が浅い場合は肺と表裏一体をなす大腸の動きも悪くなると考えるのです。

(西洋医学では便秘になると肌荒れになるメカニズムが解明されていませんが東洋医学としては表裏の関係なので説明ができる状況です)

 

便秘を治すには

 

便秘を治すにはいくつかのポイントがあります。

便秘のタイプを見極める

 

便秘を改善するには、その成り立ちをしっかり理解しましょう。原因が違えば対策も違ってきます。

弛緩性便秘であれば食物繊維をしっかり摂って便のかさを増やすことや水分をこまめに摂取するなどの対策があります。逆に痙攣性便秘では食物繊維や乳酸菌飲料などが過剰ではないか確認してください。

子どもや高齢者の便秘であればしっかり記録をとっておくことも大切な対策です。排便の有無や下剤の有無の情報を共有しておかないと自然なのか不自然なのか見極めることが難しくなるからです。

 

緊張感とリラックス

 

排便は自律神経の影響が大きいものです。自律神経をしっかり機能させるには生活リズムを一定にすること緊張感とリラックスの割合を上手にバランスすることです。

まず生活リズムを一定にするというのは、就寝時間、起床時間を同じにします。明日が仕事であろうが休日であろうが同じ時間に寝て、同じ時間に起きます。休み前だから夜更かししたり、休みだからといって午前中ずっと寝ていてはダメです。

睡眠のリズムの次は食事のリズムもしっかり整えましょう。やはり休日にダラダラ食べていたり外出して昼食を摂るタイミングを逃さないようにしましょう。

そして緊張感とリラックスのことですが、よく図書館や本屋さんにいくと便意や尿意を意識する人の話を聞いたことがありませんか?これは偶然や都市伝説ではなく、ある種の緊張感がそうさせているのです。

これから外出しようとするとトイレに行きたくなったり、緊張・興奮など感情や環境が変化するときに体を動かす準備段階としてトイレに行きたくなるのはよくある現象です。逆に言うといつも緊張ばかりしていたり、いつもゆったりしていると排便するタイミングが起きにくいのです。

 

やっぱりお灸かな

 

自律神経を整えるにせよ、食生活を改善するにせよ、鍼灸師である私が「手っ取り早く」(つまり安全確実・簡単に)効果が期待できることを検討しているのですが、いきつく結論がやっぱりお灸でした。

ですから、まず1週間くらい試してほしいな、と思うのです。

興味ある方はお灸の部位を後述していますので参考にしてください。簡単ですよ。

 

本当に食物繊維・乳酸菌でいいのか?

 

実際にあったことなのですが、ある人が便秘には「食物繊維がいい」「乳酸菌飲料がいい」「ヨーグルトが良い」と友人知人から勧められていたそうです。そして医師から整腸剤も出されており、すべてを摂取・服用していたというのです。

それから便秘を治そうとして一生懸命いろいろ食べていたら余計ひどくなったようだと相談を受けました。

結論からいうとご想像のとおり、過剰摂取で便秘がひどくなったということですね。

あせって治そうと極端に動くと、胃腸のバランスだってとりにくいものなのです。当たり前に聞こえますけれど短時間で結果を出そうとあせったり極端に走るのは良くないことです。

便秘の解消でしたら徐々に注意を払って1、2週間で変化しますし、1月もあれば安定するようになるでしょう。だから毎日気負いすぎないことが大切です。

 

せっかくだからお灸をしよう

 

便秘対策のお灸の部位は状態によって多少、異なることがあるのですが共通して間違いない部位があります。それは澤田流神門です。これは便秘改善にとってとても重要な経穴(ツボ)だと考えます。あとは腸全体のことを考えて合谷にもお灸をしましょう。

特にに女性で慢性的に便秘になる方や高齢の方、さらには高齢者を介護している方が覚えておくとかなり役立つツボの場所となります。

 

便秘と自覚する人は左右4箇所に毎日同じようなタイミングでお灸することをオススメします。

 

排便時の工夫

 

便座に腰掛けたときに爪先立ちになるようにかかとを上げます。

すると直腸が肛門に対して垂直になりますので排便がかなり楽になります。それほど息ばらなくて済みますので試してほしい動作です。

また排便する習慣も影響します。朝の忙しい時間にトイレを我慢していると便秘になることが知られています。便意がなくても似たような時間にトイレに入り少し便座に腰掛けているだけでも便秘解消に役立ちます。まずは生活リズムを念頭にパターンを作っていきましょう。

 

さいごに

 

便秘は女性だけでなく高齢者にも多い悩みのひとつです。

お灸を継続することによってしつこい便秘が改善したケースも数多くみられます。すぐに薬剤に頼るのではなく、まずは自然な方法を試みてみるのも良いのではないでしょうか。

ちょっとしたことだとあきらめずに小さなことから体調を見直していくことで生活の質もかなり向上します。ぜひ健康に対する意識を高めていただければと思います。

 

The following two tabs change content below.

マツモト コウイチ

東洋思想研究家でありUdemy講師でもあります。開業15年超の鍼灸師です。ビジネスから教育、エンターテイメントまで多くの人の成功と挑戦を東洋思想家として見渡しています。すべての投稿に関して講義講演が可能な内容となっています。居敬窮理(振る舞いを慎み、道理をきわめて、正しい知識を身につけること)を実践していこうと思います。

最新記事 by マツモト コウイチ (全て見る)

ABOUTこの記事をかいた人

東洋思想研究家でありUdemy講師でもあります。開業15年超の鍼灸師です。ビジネスから教育、エンターテイメントまで多くの人の成功と挑戦を東洋思想家として見渡しています。すべての投稿に関して講義講演が可能な内容となっています。居敬窮理(振る舞いを慎み、道理をきわめて、正しい知識を身につけること)を実践していこうと思います。