つらい冷え症を防ぐには

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病気や症状に関する話題はとてもデリケートな内容です。鍼灸師である筆者の知見であることをご理解のうえお読みください。

今回はいわゆる冷え症の考え方についてお話します。お灸の部位にも言及しています。

 

冷え症の理解と対策について

「冷え性」と「冷え症」

 

冷えというものは西洋医学では扱いにくいものに映ります。

 

慶応大学医学部漢方医学センター渡邉賀子博士によると2人に1人の女性が冷えを自覚しているとNewton別冊『体の科学知識 体質編』に寄稿した記事があります。

 

冷え性というものは冷えの性質と読みとることができ、体質とみなされてきました。

冷え症という文字は少し違って症状という考え方になります。ですから冷え症は治療対象だと考えられるのです。

 

どちらも同じく「手足あるいは下半身といった体の一部あるいは全身が冷えを感じそれが苦痛であること」という意味があります。後者は体質ではなく治療対象という意味で「冷え性」の文字ではなく「冷え症」としたというのです。

 

さらに「体温などの数字ではなく自覚症状を基準にしている」ともあり、この一文が西洋医学では扱いにくい範疇であろうと最初にお話しした点になるのです。(数字に表れないものを対象にするのは西洋医学では珍しいと私は思っています。そもそもNewton別冊の特集であった項目も「冷え症」について言及したのは漢方医学センターという肩書です。)

 

西洋医学的に考えると

 

冷え症は手足などの末端、または下半身などの冷えの自覚をいうという前提からして、体の熱源不足と考えます。

 

主な熱源不足は以下の理由が考えられます。

 

熱源となる栄養の不足

加齢や精神状態による慢性的な栄養失調は冷えの原因となると言います。

 

筋肉の不足

人体は筋肉によって全体の6割を発熱しています。肝臓など内蔵は全体の4割を発熱しています。なかでも女性は一般的に男性に比べて1割ほど筋肉が少ないことが言われています。

 

血流の不足

血液は酸素や栄養、老廃物を運ぶだけではなく体温を運ぶ重要な担い手です。そのため低血圧や動脈硬化など血行障害がみられると熱源不足の大きな原因となります。

 

自律神経の異常

自律神経は血流調節を行うシステムとして機能しています。自律神経はストレスや天候などさまざま要因で不安定になります。緊張からくる手足の発汗や冷えも自律神経の影響の最たるものです。

 

病気を疑うもの

 

冷えが病気のサインである場合があります。冷えを感じるからすべてが病気とは限りませんが重大な疾患が隠れている場合もありますので適切に対応するためにも注意深く観察しましょう。

 

甲状腺機能の低下

甲状腺ホルモンの分泌不全によるもの。女性に多い傾向にあります。

膠原病

関節リウマチなどの免疫疾患。女性に多い傾向にあります。

糖尿病

糖尿病による動脈硬化、神経障害は頑固な冷えと皮膚の変色がおきやすいとされます。

 

 

いわゆる冷え症

 

低体温症だけではなく、末端冷え性も含んで考えます。

また本人に自覚はないけれど手足が冷たいもの。逆に本人は自覚しているのに手足が常温のものなどがあり、広義で冷え症と考えます。

この冷え症は西洋医学的な分類ではおそらく適応されないであろう不定愁訴です。

 

東洋医学で考えてみると

 

人体には経絡という気血の流れがあると考えます。(血液ではなく気と血、つまり気血と考えます)

全身に12本の流れがあり、その末端が次の経絡につながっており1つの大きな循環を成しています。

 

ですので「末端が冷える」「下半身が冷える」というのは気血の流れが悪い状態だと考えます。例えば気の量が少ない(気虚)、血の量が少ない(血虚)、気の動きが悪い(気滞)、血の状態がよくない(瘀血)など同じような冷え症という訴えでも気血の状態を考えても原因はさまざまあります。

 

冷え症を治すには

 

冷えを減らす心構え

冷えというものは陰的な状態にあります。つまり変化が遅く症状の改善もハッキリしないものです。(逆に陽的な症状は頭痛や下痢のように急激に痛いわりには長期間続かないで無くなるものもあります)

陰的な症状は状態が改善されても長期的に注意が必要です。

足の冷えが減ったからといって、すぐに素足でいたり薄着でいることは根本的な解決を遠ざけますので注意が必要です。今、足が冷たいかどうかではなく、継続的に冷えないために用心することが大切です。

 

冷えのメカニズム

冷えは陰的と言いました。陰陽でいうと上は陽で下が陰。表面が陽で中心が陰です。

ですから、冷える場所といえば陰的な場所である下(下半身、足先)や中心(内臓、下腹部)ということになります。

そして、西洋医学的にいうと血液は体温を運んでいますので、温度が低い(冷えを感じる)ということは血流が悪いということができます。血流の改善を促す必要があります。

ここで末端の血流を良くする方法は運動や労働でも良いのですが、東洋医学的に特に意識してほしいことがあります。それは「呼吸を深くする」ということです。呼吸は釜戸における「ふいご」の役割を果たします。火力を上げるには「ふいご」によって酸素を十分に行き渡らせる必要があります。

同じように人体においても末端までしっかり酸素が行き渡らせるために浅い呼吸ではなく深い呼吸が有効なのです。

 

「温める」と「冷やさない」の違い

ときどき体を温めたほうがよいと思って岩盤浴やジョギングなどをする人がいますが、体質・体力をしっかり理解していないと逆効果な場合があります。(※なんでも温めれば良いというわけではありません)

例えば温泉に入ることは良いとされていますが、実際には入湯するだけでもかなり体力を消耗します。心地よい程度の時間で終わればよいのですが、効果を期待してかなりの時間、温泉に入っていると湯あたりします。それがなくてもかなり疲労感が出てしまったり逆効果です。

ほかにも室内でも常時使い捨てカイロを使っていると、気がつかないうちに背中や腰に汗をかいていたり、睡眠時に靴下を履いて寝ていたら足が蒸れたりと、不必要に汗をかく場合があります。これら発汗することは頭からの命令では「体を冷やせ」となっています。

ですから「温める」ことに夢中になって返って体を冷やす結果になることがあるのです。

ここで求めていることは「冷やさない」ことです。いまいちど温め過ぎて冷やさないように確認しておいてください。

 

本当にショウガでいいのか?

 

この考えは特に筆者が常日頃から思っていることです。薬膳という考え方はあまり好きではありません。なぜならもともと粗食でいるべきだと思っているからです。欲を慎む方向に行くのが東洋思想だと思っています。欲を煽ったり、禁止することは中庸を欠くと思います(このことはいずれ投稿します)

さて、雑誌などでは東洋医学の専門家と称する人でも、すぐに「冷え=ショウガ」という紹介をします。

私はそれほど単純なものではないと思っており、ショウガは性(しょう:成分のこと)が強いために胃腸が弱い人の過食は避けるべきだと思っています。

ショウガの辛味成分であるジンゲロールやショウガオールの薬効成分があったとしても、それを処理できる状態になければ短期的に血行促進になったとしても害が出ると思うからです。

特に冷え症は偶然というより必然的になった状態です。胃腸が弱い場合も十分に考えられるのです。それを成分が温めるものだからといって、極端に摂ればいいかと言われれば疑問があります。ニンニクやネギ、らっきょうなど薬味になりそうなものは、いわゆる毒消しです。それをメインで食べるものではないと思うのです。

もちろん、極端に摂ったほうが結果が早いです。しかし冷え症は陰的なものですので改善はすぐにできるものではありません。ですからショウガの即効性とは相容れない性質だと思うのです。(薬膳や漢方薬に詳しい方はどのようにお考えでしょうか…)

東洋医学的にいうと、葛湯で有名な葛(くず)や胡麻、クルミなどがゆっくりではありますが着実に冷えの改善には役立つ食品だと思っています。また糖質・糖分は控えるようにしてください(脾実→腎虚)。

 

せっかくだからお灸をしよう

 

冷え症対策のお灸の部位は状態によって多少、異なることがあるのですが共通して間違いない部位があります。まずひとつは三陰交です。三つの経絡の交点となる重要な経穴(ツボ)だと考えます。

そしてもうひとつは照海です。もともとの生命力を強化するには最適な性格をもった経穴です。

冷え症と自覚する人は、この二穴、左右4箇所に毎日同じようなタイミングでお灸することをオススメします。

※さまざまな回復・予防(とくに未病治に有効な)お灸教室テキストがあります。このブログの更新通知のメールアドレスを登録するとダウンロード可能ですのでぜひお受け取りください(数秒で右下にポップアップが出てきます)

 

できることと言えば

 

お灸推しなので、お灸をコツコツ続けると冷え症ではなくなるのですが、もっと効果的に冷えを無くしたいと思う方は「呼吸」を深くすることを続けてください。オキュウじゃなくてコキュウですね。

たとえば、ヨガでも太極拳でも、瞑想でも深呼吸でも。民謡を歌ったりお経を上げてもよいです。ゆったりと深い呼吸を続けるようにしましょう。

早い呼吸ではありません。(運動をたくさんすれば良いというわけではないのです)

深い呼吸を心がけると無意識なときに深い呼吸が継続するようになります。意識しているときだけ深くても効果は少ないのです。姿勢も良くなりますし、呼吸に必要な筋肉がしっかり動くようになります。

そうすると末端まで酸素を運ぶようになります。もちろん実感するようになるには2,3ヶ月必要かもしれませんが無意識に呼吸が深いと体調を安定させることができますので、やっていて損はありません。

 

さいごに

 

冷え症は基本的に長期戦です。大人の女性であっても小学生の頃から冷えを感じている人は多くいるのです。男性だって冷えに悩んでいる人は多いもの。

冷え症の厄介なところは寒い・冷たい・痛いという不快な点にとどまりません。冷えがあるところにはその反動として熱が発生します。その熱がやがて頭痛・耳鳴り・めまい・高血圧・不安・動悸・不眠症など病院にかかっても原因不明やストレスとして片付けられてしまう厄介な症状を作り出すのです。

地道に冷えを改善していくと体が軽快なことに驚くようになります。すぐに体質などとあきらめずに少しずつでも改善できるように対処していくことをオススメします。

 

 

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マツモト コウイチ

開業22年超の鍼灸師です。