病勢による分類の試み

 

補足

このインフォグラフィックについて

どうしても鍼灸師向けに書いてしまうんですよ。反省していますけどネタがそちらに向いてしまいます。一般の方向けにはなっていませんのでご理解ください。

効用

このインフォグラフィックは上から下に時系列に書かれています。(理解が難しいのはデザインの稚拙さです。すみません)

また素問による四大病証の分類とは少し違うかもしれませんが、ご理解いただければと思います。

使いみち

実際のところ、この図は何を示しているのか?というと患者さんが来院するのはどのようなときか、ということを示しています。

上から5段階あるのですが

(1)陰虚証…未病で通院する機会は無い。東洋医学的説明が奏効。
(2)陽実証…普通は病院へ。ここでの症状は治りやすく手柄になりやすい。
(3)陰虚証…薬で抑えて慢性化。来院するがでたらめな主訴になる。
(4)陽虚証…全体的に虚的で回復が実感しにくい。
(5)陰実証…症状がたくさんあり捉えにくい。場合によっては死に直結するがその自覚が少ない段階

普通の鍼灸院は(2)を求めるレッドオーシャンです。ライバルは多く経営は大変です。自分の腕の良さを誇示しなければならないでしょう。ただ治る場合はケロッと治るので患者さんにも受けがよく、自分の腕も過信しますので宣伝にも熱が入ります。病院を否定する鍼灸師もいますが、なぜならこの層を奪い合おうとしているからです。

次に(2)ではなく(3)を相手にする鍼灸師も多いと思います。このときは患者さん側から医療機関の代替手段を探しているからです。

ただ、この段階ではさまざまな症状を訴え(でたらめに聞こえる)、そして内因も回復していない割には症状の回復を迫られるので、あまり良い結果になりません。そこで見限られることもありますので注意が必要なのです。うまく付き合って行きましょうと言って回復に焦らない人なら良いのですが、ある程度結果を示さないとその言葉も説得力を失ってしまいます。(説明ではなく言い訳に聞こえるため…)

(4)は鍼灸院に通院する理由は大きいのですが、回復が実感しにくいので治療効果とともに説明や理解を求める対話力が必要になりますね。こういうの鍼灸師は苦手だと思います。相手をみたり、状態を説明したりせず、一律同じ文言で機械的に言っていたりしませんか?理論がないから雰囲気の説明になりやすいと思うのでその点、あらためて学ぶことをオススメします。

(5)で戦ってもいいのですが、よほど自分の腕と相手の理解が必要ですね。脳梗塞の後遺症などかなり難しい症状ではあるのですが、本人やご家族も通院の意義を見出しやすいケースがあります。さらに回復が遅くとも、納得していただけることが多いかと。ただ、インフォグラフィックにあるようにここの患者さんは場合によってはドンっと悪くなる可能性があるので要注意です。

さて、「病は気から」といいますが、未病治こそ鍼灸の最大の強みだと筆者は思っていますので、(1)の段階で来院につなげる必要があると思っています。これこそ経営の秘訣、三方良し、鍼灸師の意義だと思っています。

この(1)で来院してもらうには、そのような段階を知らずには主張できません。そしてそのために東洋医学的な病理を知る必要もあります。また内因なのですから、内因による影響、つまり七情についても深く知りケアや予見ができるようにしておく必要があります。

このあたりは経営の秘訣と直結するのですが、まずはこのような病勢があり、自分が対応できる患者さん像、自分が相手にとってどのようなアプローチをするのかという大前提を確認しておくことが大切だと痛感します。

つまり、経営の秘訣も古典にあるじゃんって思った次第です。無意識にやっていて答え合わせ的に古典に出会うと少し衝撃を受けます。あぁもっと勉強しておこう。

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マツモト コウイチ

開業17年超の鍼灸師です。鍼灸の普及啓蒙を実践するYoutubeも始めました。ブログでは東洋医学を中心にビジネスから教育、エンターテイメントまで多くの人の成功と挑戦を見渡しています。東洋思想研究を深め居敬窮理(振る舞いを慎み、道理をきわめて、正しい知識を身につけること)を実践していこうと思います。

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開業17年超の鍼灸師です。鍼灸の普及啓蒙を実践するYoutubeも始めました。ブログでは東洋医学を中心にビジネスから教育、エンターテイメントまで多くの人の成功と挑戦を見渡しています。東洋思想研究を深め居敬窮理(振る舞いを慎み、道理をきわめて、正しい知識を身につけること)を実践していこうと思います。