お灸は熱くないの?

鍼する左手 灸する右手

 

中堅鍼灸師のマツハリ先生と健康マニア宇宙人のキュウタロウ君のドタバタ鍼灸問答です

わかりそうでわからない、鍼灸の世界を垣間見てみましょう!

 

#2 お灸は熱くないの?

 

キュウタロウ: お灸について質問していい?
マツハリ先生: どうぞ。

キュウタロウ: お灸って熱いでしょ?
マツハリ先生: まぁ熱いって言えば熱いし、熱くないとも言えるなぁ

ハリコ   : もぅマツハリ先生ってすぐに曖昧に言うんだから。
マツハリ先生: いやいや、お灸にも種類があるし、お灸を据える人の考え方にもよるからなんだよ。

キュウタロウ: またそういう違いがあるの?
マツハリ先生: そうなんだ。こういう考え方の違いをすべてお灸という一言で表現しなければいけないことが、みんながわかるようでわからい状況になっちゃっているんだよ。

キュウタロウ: お灸は熱くないと効かないんじゃないの?
マツハリ先生: お灸を熱の刺激としか考えない人は、熱くなきゃいけないと考えるよね。

キュウタロウ: お灸は熱の刺激じゃないの?
マツハリ先生: そう思っていない人もいるよ。

キュウタロウ: えー。そんな人いるの?
マツハリ先生: いるじゃないか。目の前に。

キュウタロウ: あらら、ごめんなさい。マツハリ先生なんだ。
マツハリ先生: じゃ、今度はキュウタロウ君に質問しようか。もしも、お灸が熱の刺激だというなら、直接、点火するときにつかっている線香を近づけた方が熱い刺激があるんじゃないのかな?

キュウタロウ: あぁそっか。
マツハリ先生: まぁ完全にお灸による熱の刺激が関係ないとは言わないけれど、「熱ければよい」という考え方でもないんだよ。

キュウタロウ: 熱い刺激なら何でもいいってわけじゃないんだね。
マツハリ先生: そう。だから、手間暇かけてお灸をしているわけ。お灸の原料であるもぐさを作るのも、手間がかかるんだよ。

キュウタロウ: お灸ってもぐさっていうヤツを使うんだよね。
マツハリ先生: そうだよ。もぐさは、日本では草餅なんかに入れる蓬という葉っぱの繊維なんだ。蓬を乾燥させて、枯葉から葉の部分を取り除くと繊維が残る。その繊維を何年も乾燥させてもぐさができるんだよ。

キュウタロウ: さっきさ、マツハリ先生はもぐさは熱の刺激が目的じゃないっていったよね。じゃ何のためにするの?
マツハリ先生: 鍼の時に言った言葉を覚えているかい?

キュウタロウ: 鍼は刺激の道具じゃないって言っていたこと?
マツハリ先生: そう。鍼は気を調整する道具って言ったんだ。それに対してお灸は血(けつ)の流れを調整する道具なんだよ。

キュウタロウ: 血っていうのは血液のこと?
マツハリ先生: ここも誤解がありそうだけど、今はそう思っていてもいいよ。厳密に言うとちょっと違うんだけどね。

キュウタロウ: お灸って火傷するでしょ?
マツハリ先生: それも誤解なんだ。

キュウタロウ: えー、誤解ってどういうこと?
マツハリ先生: これには2つの誤解する話があるわけ。ひとつは、昔、結核という当時では不治の病が流行った頃に、命を落とすよりはお灸で助かろうとおもいっきり大きなお灸で火傷させたということがあるんだ。

キュウタロウ: そんなことしたの?
マツハリ先生: いや、別に不思議なことじゃないんだよ。今で言う免疫療法だから。お灸をして火傷を作って、そこに特殊な薬品を塗る。そうすると、膿みを作るんだ。こうすることによって免疫力が上がると考えられたんだ。

キュウタロウ: そうか。薬のない時代だったら、命を落とすことを考えたら必死になにかしようとするだろうね。
マツハリ先生: いまでは、その薬も、その薬を作っている会社もないからこういうやり方自体ないんだけどね。そういうお灸を受けたことがある人が自分の火傷の跡の説明をすると説明を聞いた人はお灸って怖いなぁって思うよね。

キュウタロウ: もうひとつは?
マツハリ先生: もうひとつは、今よりももっと気軽にお灸をやっていた人がいるってことだよ。つまり、民間療法でね。

キュウタロウ: 民間療法で?
マツハリ先生: お灸が効果があることは古くから知られていたんだけど、勉強してなければツボの場所がわからないわけ。本当に重要なのは、「しっかりとしたツボの場所を取ること」、つまり灸点を取るっていうんだけど、それがわからないままもぐさだけはあったから、お灸をしようとしたんだ。

キュウタロウ: つまり、しっかりしたツボが取れれば火傷する必要がないってこと?
マツハリ先生: そうだよ。火傷どころか熱さを我慢することすら必要ない。気持ちいいくらいなんだよ。自分勝手にお灸をすると、何が良くて、何が悪いかなんてわからないから、とにかく熱い刺激をたくさん与えようと思うのが自然でしょ?

キュウタロウ: 僕もそう思うだろうな。いっぱい熱くして、早く楽になりたいもん。
マツハリ先生: それってね、ご利益信仰っていうんだよ。これだけ我慢したんだから、これだけ良くなりたいっていうのは。ただ、物事っていうのは、苦労したから必ず成果に結びつくってわけではなく、また逆に楽しても結果が出てくることはあるものなんだよ。

キュウタロウ: えー、お灸って気持ちがいいの?我慢するものじゃないの??
マツハリ先生: あのね、治療のときに、いちいち我慢していたら治療の効果がかえってなくなってしまうんだよ。

キュウタロウ: そういうものなのかぁ。じゃぁちょっと鍼灸院に行ってもいいかなった思えるよ。
マツハリ先生: そう。だから正しく理解している人ほど、鍼灸院に通うことに抵抗はないんだよ。ただ、、、。

キュウタロウ: ただ?
マツハリ先生: 今は鍼灸院って言っても、鍼はやるけどお灸はやらないってところが多いのも事実なんだ。

キュウタロウ: なんで?
マツハリ先生: どちらかというと鍼灸院側の都合が多いかな。室内が煙で汚れるっていうのもあるし、技術も必要。何よりも、お灸を単なる刺激って考えていれば、鍼とどう違うのか自分でもわからない。説明できない。どうせ刺激だったら鍼でいいんじゃないかっていう結論になりやすいよね。

キュウタロウ: そうなの?
マツハリ先生: それだけじゃなくて、鍼灸マッサージって看板をよく見かけるでしょ?鍼灸とマッサージはまったく別物なんだけど、同じように掲げて構えている治療院が多いんだよ。

キュウタロウ: いわゆる治療院っていうのもいろいろあるんだね。
マツハリ先生: このことについてもたくさん説明したいことはある。でも、それはまた別のときに話すね。

キュウタロウ: わかりやすく教えてね。
マツハリ先生: あぁ。いいとも。

 

第二話を終えて

 

「お灸を据える」という言葉は懲罰的な意味合いで用いられますが、治しようのないものまで治るご利益を期待するという意味もあったとか。

 

私が知る限り、お灸で癌が治った話しは珍しくありません。多少の流派の違いはあれど、印象としては「桁違いにお灸を据える」という物量作戦が功を奏したというケースが多いようです。

命に関わることなので、安易に試す機会がないわけですが、自分が重症化したら試してみるつもりです。

 

 

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マツモト コウイチ

東洋思想研究家でありUdemy講師でもあります。開業15年超の鍼灸師です。ビジネスから教育、エンターテイメントまで多くの人の成功と挑戦を東洋思想家として見渡しています。すべての投稿に関して講義講演が可能な内容となっています。居敬窮理(振る舞いを慎み、道理をきわめて、正しい知識を身につけること)を実践していこうと思います。

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