機会損失について考える

「利益を得る」という結果は数字でわかる形で出てきます。しかしながらそこに至るまでの状況を理解していれば「もっと利益を得られていた」かもしれません。今回はそのようなお話し。

 

機会損失というもの

 

機会損失という言葉を熟知していたほうが良いと思い今回の投稿なります。

機会損失とは簡単にいうと「稼ぎ損ない」や「儲け損ない」のことです。

最善の意思決定をしなかった(できなかった)ためにより多くの利益を得る機会を逃してしまうことです。それは現実的な損ではなく得られるべき利益を得られなかったという結果的な損失です。

買い需要があり、売る側に意思があるにもかかわらず売る側の都合で取引が成立しないことに伴う売上の減少を言います。

 

ケーススタディ

 

目先の小さな利益を選ぶと機会損失が起こる可能性があります。

 

たとえば 徒歩と電車で500円で90分かけて移動をします。それとは違う移動手段がタクシー(5000円と30分必要)があった場合、タクシー移動で余った60分で差額4500円以上の仕事(売上)が立てることができれば後者の選択のほうが正しかったことになります。

お得だと思って決断した行動がかえってチャンスを逃すことがあります。これも機会損失に入るでしょう。

 

注意点

 

「本来なら得られたはずの利益」を失ってしまう。利益につながる機会(チャンス)の損失です。

 

「仕入れすぎによる廃棄ロス」のような目に見える損失と違って機会のロスは目に見えにくいものです。そのため数字や意識に上りにくいので見落とされる可能性があります。

「一見、売上は前月と変わらないけれど実はおおくの機会損失があった」という事態もありえます。

 

顧客の購買意欲を削ぐだけでなく、長期的な信頼も失うことになります。

「この前、買えなかったから次もどうせ買えないだろう…」

 

対策

 

予約枠は早い方から埋めるように

サービス業であれば予約枠のこと。製造業であれば賞味期限や製造の古いほうから使用不可になるのでそちらを優先的に販売するようにします。

 

「購入しずら」「予約しずらい」と思われないように

いつでも手に入るという安心感は商品の特性としてメリットになります。逆に希少性を煽り過ぎて販売が成立しない場合やそう思われて購入に至らない場合はイメージが悪い方向に働いています。

サービスや商品の入手を「安心感」を基本とするか「希少性」を打ち出すのか。このあたりは注意が必要です。

 

事前に混雑の予想を立てておく

現場の暗黙知レベルではパターン化された事象は見当たるものです。「雨の日だから売上が良い/悪い」「給料日だからついで買いが多い」「連休前だから買いだめが多い」などさまざまな変化が経験として蓄積されているはずです。

できる限り、受動的な対応にならないように先手先手で予想して作戦を立てておくと良いでしょう。

 

混雑を均等化するよう提案する

混雑の予想が可能であれば現場レベルの対応力に柔軟性を発揮して均等化するよう情報を共有しましょう。

また小さなクレームも吸い上げるようにチームをまとめる立場の人は心がけましょう。

 

フォローする前提で

仕方なく断った相手にフォローを手厚くしましょう。

忙しい、在庫がない、確認忘れなどすべてこちら側の理由です。仕方なく機会損失の状況になってもそれがいかに最小限でとどまるか細心の注意と相手へのフォローが必要です。

 

まとめ

 

現場の判断という暗黙知をできるだけ形式知にして共有する心構えが必要です。

本文にもありますように機会損失は自覚しにくく、数字だけみていては気が付きません。ある程度の予想や経験によって現場のリアルを知ることで気づくことがあるでしょう。

機会損失は「あと一歩で利益」というとてももったいない(惜しい)状況にあります。このあたりのチャンスを取りこぼさない工夫も経営戦略としては大いに関心を傾けるべき事象だと思います。

もしかしたら「売上が伸びない」のではなくて「機会損失が多いかもしれない」と疑って再検討してみるのも大切な視点かもしれません。

 

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マツモト コウイチ

開業22年超の鍼灸師です。