日本一、ネクタイを売っている人はどのようにしているかということを聞いたことがあります。このエッセンスをどうしても伝えたいと思ったので今回の投稿です。
ネクタイを売る
ネクタイは売れない
ネクタイは売れないものの象徴的なものです。シーズンは関係ないですし、色や柄はたくさんある。無ければ困りますが適正な保有数もわかりにくいもの。靴やズボンは痛むことはあってもネクタイはそうそう痛むものではありません。
この売れないものの象徴をどうやって日本一売っているのでしょうか。
もし仮に売れる理由が偶然ではないのであれば、私たちはそこから何か学ぶことができるはずです。
日本一売るには
まず、相手のネクタイの柄や色を見ます。
(ネクタイをしていない人でしたら、普段のネクタイの傾向をよく聞き出します)
そして似たようなネクタイを持ってきます。
次にこう言います。
「これなんかまったく違いますが、よくお似合いだと思いますよ」
人の決断
笑い話か相手を騙しているように聞こえますが、人間の心理を的確に描写しているやり取りだと思います。
まず、相手の言葉や行動だけでなく、その裏に隠されたストーリーを読み解くことです。この場合ですと、ネクタイは欲しいけれど、同じものは必要がない。違うものが欲しいのだけれど冒険はしたくない。
このようなニーズを汲んで、似たような色や柄で冒険心を助けるわけです。
そして、買いに来た動機である「違うものがほしい」にマッチした説明として「違うもの」「似合う」が合えば交渉成立となるわけです。
ここには「これが安くてお得です」という相手のニーズを汲まない言葉や「こっちの柄が珍しいです」と相手の言葉をド直球に受け取った対応はしていません。
ある程度は瞬間的な名人芸なところはあるでしょうが、商売柄、自分の顧客がどのような悩み、ニーズ、障壁があるのかよく観察できている証拠とも言えます。この分析こそ準備としてしっかりやっておくべきことでしょう。
駅ナカの蕎麦屋
そういえば駅ナカにある立ち食い蕎麦屋も、なぜ繁盛しているかという視点が大切です。
立ち食い蕎麦屋は「美味しい蕎麦が食べたい」ではなく「早い」「安い」というニーズを的確に捉えている要素が大きいのです。
そのニーズにマッチしたのが蕎麦だというだけで、本当に「蕎麦が食べたい」のではなく「腹を満たしたいところに蕎麦があった」という構図になります。
発展的に考えると、ある意味では、ここに行けば何かあると思わせる段階で勝負があるような気がしますね。
さいごに
マーケティングとかペルソナとか難しい言葉を使わないで、純粋に「商売のうまさ」を伝えるお話でした。
あなたが商売をするなら、ぜひ周りの人すべてが機転が利く人になるようにこのようなエピソードを教えてあげてください。
翌日からみんなでネクタイを売り始めたら、それはちょっと意味が違うんですけどね。
マツモト コウイチ
最新記事 by マツモト コウイチ (全て見る)
- 車に興味の無い自分がテスラモデル3LR購入を決断するまで - 2021年6月15日
- [ビジ活陰陽論04]中庸(ちゅうよう)の原理 - 2020年4月1日
- [ビジ活陰陽論03]陰陽の分類を自在におこなう - 2020年3月25日
コメントを残す