旧来の広告について

鍼灸師が経営困難に直面するという話しは業界にいれば珍しいことではないでしょう。ここでは何回かのシリーズに渡って鍼灸師向けに役立つ内容をお伝えしたいと思っています。

【シリーズ鍼灸師の考える経営】今回は(3)旧来の広告についてと題してお伝えします。

 

広告の種類

 

鍼灸師が行う広告は一般的な商売とそれほど違いがありません。

おそらく旧来の広告と新しい広告の2種類が思い浮かぶと思います。

旧来の広告とはチラシ、のぼり、看板、電柱広告、新聞折込、電話帳、地図広告、患者さんからの紹介などがあります。

新しい広告とはネット広告(グーグルアドワーズ)、SNS(Facebook・Twitterなど)、まとめサイト(鍼灸院情報、地域情報など)、オウンドメディア(自院HP、ブログなど)があります。

旧来というのはそのエリアに即したものだと考えてください。新しい広告というのは主にネット上の情報発信だと考えてください。

私が開業してからすべてを実践しているわけではありませんが、実践したものや検討したもの、そして先輩後輩の鍼灸師に聞いているものなどコメントしていきたいと思います。今回は旧来の広告についてお話していきます。

 

旧来の広告

○チラシ

いわゆるチラシ。フライヤーという場合もありますが、多くはA4、カラーのもので、いまではネット経由の印刷会社がたくさんあるので、それほど迷わずに印刷の発注が可能でしょう。

デザインはランサーズやクラウドワークスに発注するといろいろなデザインの提案を受けられます。(※何度も書きますが仕事している感がでるので楽しくなりますが、仕事(利益を出すため)に行っているのでハマり過ぎに注意です)

デザインを発注するには1万円でも提案は受けられますがプロに依頼しているので相場を考えて依頼するほうが正しいと思います。またチラシの制作にはそのコンセプトを明確にしておくとよいでしょう。(この件に関しては他の投稿でお伝えする予定です。)

◎のぼり

のぼりはウチの鍼灸院では実践していませんが、もし私がいまから開業するのであればマストアイテム(欠かせないもの)という認識でいます。

もちろん、のぼりを出しっぱなしにするのではなく診療時間の前後にしっかりと周囲の人に顔を見せることが大切だと思っています。思いの外、鍼灸院に興味があるのに「怖くて」近寄れない人が多いものです。愛想よく挨拶したり周囲の清掃まで行うと会話の接点が生まれます。こういう場で会話が生まれれば来院につながる率はかなり高いものです。(場所の説明はいらないわけですし…)

△手作り看板

開業当初、少し離れた場所に看板を置かせてもらいました。効果はあったのか判定するのが難しいのですが、地域の人に認知されるために意味はあったと思います。(現在は管理が大変なので撤去しています)

管理が大変というのは、管理しようとするから大変でして、かねてから看板を設置したからには汚れていないか・破損していないかを定期的に確認しようと思い、実践していました。開業当初から3年は定期的に行っていたと思います。

大きさとしてはA0(新聞紙を広げた大きさ)のものでフェンスにかけるようなもので、設置は知人の駐車場につけさせてもらい薄謝を渡しただけです。制作費は1枚1万円くらいだったと思います。2、3枚ほど用意したと思います。アクリル板でしっかりした作りでしたのでそれほど汚れず、また破損することもありませんでした。

ときどき看板のうえにビラ(チラシ、ポスター)がはられているものを見かけますが心象を悪くするので注意しておきましょう。

×業者さんに依頼する看板

業者さんに依頼すると良い場所で、しっかりとした作りとなりますが、費用が1桁増えると思ってください。私は効果測定が難しいので敬遠した覚えがあります。

業者さんに依頼するものでも、例えば田舎の道路脇に看板を作って設置するだけの場合もありますし、駅構内に掲示する場合もあります。これには地域性もあると思います。

駅構内の看板は病院、クリニックが多くありますので同列に並ぶとある種の信頼を得たようなステイタスに映りますが、費用対効果や資金の余裕によって設置可能でしょう(ただ、効果測定できない点が多く、あまりオススメしません)

△電柱広告(電柱看板)

いわゆる電柱の巻看板や掛け看板です。

電柱広告はたとえば東京電力の子会社などが独占的に電柱を使用する権利を有しており、月額で使用料を支払うようになります。私も当初、契約していましたが(景観保護か何かの)県の条例で何年後かに使用不可になった電柱があり、わずかな本数で契約しています。

1箇所2000円しないと思いますが、これも地域性があります。また空きがあればすぐに設置可能ですが、理想的なロケーションでも先約があれば設置することができません。

道案内に効果的です(…というよりは、それ以外に道案内に寄与する広告が思い浮かびません)。また縄張りという意味でそのエリアに重点的に広告している企業やクリニックなどがあります。

もちろん、鍼灸院の所在がわかりやすい場所であれば必要ないかもしれませんし、いまではカーナビやスマホの地図アプリの発達によりそこまで道案内に注力する必要も減っているのかもしれません。(このあたりの費用の掛け方も経営判断となるでしょう)

△新聞折込

新聞折込はそのエリアの販売店までチラシを持っていき朝刊に挟んでもらうものです。チラシに関しては広告代理店にお願いするとかなりの金額が必要です。

私も開業当初に1度だけ試験的に新聞折込を入れたことがあります。3000部だったと思いますが2人くらいの方に反響がありました。(少ないと思いますがこれでも十分成果があったという評価になります。)

そのうちの1人は地元から離れ遠く東京まで鍼灸院に通っていた方で、同じ流派ということで当院に来院していただけました。以来、10人以上ご紹介をいただきながら15年以上のお付き合いをいただいています。来院は一月に2,3回程度ですが体調も良好なことが多く虚弱を理由に鍼灸を受けていただいています。本当にありがたいご縁だと思っています。

また開業してチラシを配布したものの10年以上過ぎてから来院した方がありました。当時の新聞折込を手にして来院したのです。まさか10年以上しっかりしまっておいていただけたなんて。とても稀なケースですが無い話ではないのでご紹介しました。

少し話しは脱線しますが、広告を業者に頼むとどうなるかお話しておきます。業者さんは「広告効果が高い」と勧めてきます。そして1度広告をすると比較的効果がありません。すると「広告の効果は何度も行うほうが良い」と言ってきます。2度、3度行うとボツボツ反響がある場合もあります。しかし、ほとんど割が合いません。

それほど新規獲得に費用がかかると言ってしまえばそれまでですが、知らずに相手の宣伝文句を鵜呑みにするとお金がいくらあっても足りません。相手を詐欺とは言いませんが、夢見るようなことを言ってくるので気を引き締めてシビアに判断しなければ痛い目にあいます。この点、理解しておいてください。

 

△地元紙・コミュニティペーパー(CP)

「ぱど」に代表されるフリーペーパーや地元紙に広告を載せるという手があります。

「地元」や「発行部数」をアピールして初回は格安で掲載するような案内があります。これも新聞折込と同じでそれほど期待できるものではありませんが、その後の関係性や地元への還元と思って寄付的にするにはアリかもしれません。(なんでも否定的では物事動きませんので、費用を考えて経営判断ということでしょう)

とてつもないコミュ力を発揮するのであれば、来院した担当者に自院の宣伝としてチラシを数枚持って帰らせるくらいのことをやってほしいものです。地元紙やCPはネタで困っていますし、ましてや宣伝費でも困っています。共存共栄とまでいかなくとも初期の頃に助けてもらうという意味では簡単に顔が広い人を味方にできる手段として安い投資かもしれません。

×電話帳

電話帳はNTTのものと地域のものがあります。ウチはどちらも掲載していません。

あまり効果がないことと、仮に当院を選んで来た人であっても他院の「治る」という煽り文句に勝って選ばれたことであれば、根本的に治そうというより応急処置的に楽になりたいというニーズでしかないと思っているからです。完全に当院とコンセプトが違うので、来院があったところで期待に沿えずお互いがストレスになるということが目に見えているからです。

そもそも電話帳を見てくる人は急いでいますし、現代社会ではネット環境が整いつつあるのでホームページを見る人のほうが多いものです。そのような理由で広告どころか電話番号すら載せていません。

余談ですが、電話をかけてきて最初のほうに値段を聞く人はまず来院しません。鍼灸が実費診療ということを知らない人はこの段階で来ないのです。症状について適応か否かを聞いてくる人かつ誰かに当院の話をすでに聞いたことがある人は来院の可能性はかなり高いです。

私たちは、売上を立てることよりも相手にとって必要な存在であることが大切です。必要ではないのに来院されるといろいろと不幸になりますので自分の存在をしっかりと示すことが大切です。そして来院があったからにはその期待に120%応えられるように日頃から研究に心血を注ぐことを忘れてはいけません。

×地図広告

地図広告には2種類あると思ってください。ひとつは街なかにある看板。もうひとつは住宅地図として各戸に配られる地図があります。

どちらも業者さんが適当なタイミングで営業に来ます。開業当初に来ることは稀です。

そして、この2つとも曲者です。

まず街なかにある看板、これは気がついたら屋号が書かれています。そして半年に1回というタイミングで代金を回収にきます。これはほぼ詐欺だと思ってください。払う必要はありません。

そして各戸配布の住宅地図ですが、スペースとともに値段が買いてあり8000円から35000円ほどの幅があります。そして3地域くらいが商圏だと最低でも24000円ほどかかります。これも費用対効果は測定が難しいものです。あまり効果があったとは言い難いです。(それより営業のおじいちゃんを手ぶらで帰すのが大変です)

あるとき、思い切って半額を提示しました。

そしたらすんなり通りました。(えーーっ)

そして社判を押して支払いは後日地図完成後なのですが、更新頻度も数年に1回って言っていました。

ただその営業のおじいちゃんは翌年も来ました。(・・・。)

ですので、極初期に右も左も分からない段階での甘い判断でお願いしてしまった苦い思い出です。地図完成後にラミネートされた地図が届くのですが(各戸配布用はラミネートされておりません)費用対効果では割に合わないのは痛感しています。この費用があればほかに宣伝するか、地元に寄付したほうがよほど有意義だったかもしれません。

◎患者さんからの紹介

ウチは90%近く患者さんからの紹介で新規の来院をいただいています。患者さんのご紹介を受けられる場合は先方にあらかじめ鍼灸院(当院)への理解が伝わっているのでこちらも安心して診療できます。それでは、どのように紹介に結びつくのかという流れなのですが…この件に関してはお話が長くなりますので別の投稿でお話しします。

 

今回のまとめ

 

  • 「チラシ」は必須、「のぼり」はおすすめです
  • 看板は露出(自己顕示)よりも道案内(実用性)という側面も
  • 電柱広告は縄張り意識と月額課金の経営判断になるでしょう
  • 新聞折込は少ない反響をアリと考えるか否かの判断でしょう
  • 地元紙はコミュ力を発揮できればアリ(広告効果は無し)
  • 電話帳と地図広告に使うお金があるなら他に回しましょう

 

チラシ制作と患者さんからの紹介は別の投稿で念入りにお話する予定です

 

次回をお楽しみに

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マツモト コウイチ

東洋思想研究家でありUdemy講師でもあります。開業15年超の鍼灸師です。ビジネスから教育、エンターテイメントまで多くの人の成功と挑戦を東洋思想家として見渡しています。すべての投稿に関して講義講演が可能な内容となっています。居敬窮理(振る舞いを慎み、道理をきわめて、正しい知識を身につけること)を実践していこうと思います。

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東洋思想研究家でありUdemy講師でもあります。開業15年超の鍼灸師です。ビジネスから教育、エンターテイメントまで多くの人の成功と挑戦を東洋思想家として見渡しています。すべての投稿に関して講義講演が可能な内容となっています。居敬窮理(振る舞いを慎み、道理をきわめて、正しい知識を身につけること)を実践していこうと思います。