やる気スイッチを探す9の方法

 

例年、ゴールデンウィーク明けから梅雨明けまで、「やる気がでない」「無気力」と多くの方の相談に乗ることがあります。

仕組みや考え方を整理して、生活を見直すだけでやる気が復活しやすくなります。今回はやる気を復活させる方法をご紹介したいと思います。

 

仕組みと対策

やる気の仕組みとは

 

やる気が出る仕組みは比較的はっきり解明されています。

前脳にある神経細胞の集団である側坐核という部分が活性化すればやる気が出ることが解明されています。

それではどのように活性化させるのでしょうか…。

実際にどうすればよいのか、はっきりしていませんが基本的な考え方が次のようになります。それは、やる気が出たから動くのではなく、動いているとやる気が出るということです。ですから、まず動くことが大切になります。

 

追い込まれないと出来ない人

 

締め切り当日になって急いで物事に取り掛かる人が多いことと思います。

これは性格の問題ではありません。

ギリギリで間に合ったという緊張感と安堵感(ときにダメだったという絶望感)は普段味わうことのできない脳の興奮を呼び起こします。普段から脳は少しでもエネルギーを温存しておこうとするのですが、急激に緊張や興奮が起きるとドーパミンという神経伝達物質が大量に産生されます。

このドーパミンはアドレナリンの前駆体(アドレナリンが生成する前の段階の物質)です。アドレナリンは交感神経を優位(つまり興奮状態)にします。この状態がここでいう「やる気」が起きている状態なのです。

ですので、ドーパミンが産生されると普段味わえない興奮状態になります。ドーパミンが脳内麻薬様物質と呼ばれる所以です。

このような脳内の仕組みから、緊張興奮を人為的に作ろうと無意識に働いてしまうのです。これが締め切りギリギリまで動けない(動かなくていいし、ギリギリに動くと燃える原因)となります。

そこでこの状況を回避するには、やはり自己管理になってしまうのですが、全体の半分以上の経過報告を締め切りの数日前にマイルストーン(目標)として自分自身に行っておくことを習慣にしていくしかありません。期限の区切りの無いものに完成はありませんので、その進捗を自分が自分の上司として監督していくようにするのです。

 

今までと違うパターンを身につける

順番を変える

 

私たちは、学校教育のなかでも家庭環境のなかでも多くのことを教え込まれます。

なかでも「宿題をやってから遊びなさい」と言われた経験のある人は多いでしょう。

実際は、この順番は間違っています。

「嫌なこと」をやってから「好きなこと」をするのではなく、「好きなこと」をして「嫌なこと」をするようにします。これは前者が「嫌なこと」で疲れてしまえば「好きなこと」ができなくなります。どうせできない好きなことと思うと常に不満が残る結果になるため良い順番ではないのです。しかも後者であれば満足感を得た良い気分のまま「嫌なこと」を乗り越える勢いがあるのです。

これは、坂を登ってから下るのか、下った勢いで坂を登るかの違いです。そのようなイメージで楽しい雰囲気の勢いを借りて嫌なことにも挑戦するようにしましょう。

 

対話を変える

 

親の悩みで多いのが子供にいかに勉強をさせるかというところ。

ここでも「勉強をしなさい」と言ったところで子供は勉強をしません。したところで能率が悪いです。

人間はもともと強制を嫌うようにできています。そこで「命令」ではなく「必要性を説く」ようにします。例えば、将来の夢や進学先を語ったり将来に必要な理想像を話題にするのです。そしてそこから今やるべきことを本人が自覚すれば強制せずとも勉強に取り組むようになります。

 

解釈を変える

 

対話するうえでいろいろ解釈を変えてみるのも大切なことです。

最近では、テレビのクイズ番組でも漢字の読み方や書き順などが問題として登場しています。そのような状況をクイズとして娯楽になるのか、学校の授業で仕方なく覚える強制になるのか、同じことをしていても随分と印象が違うものです。

ですので、学校でのテストはテストと思わずにクイズと思って取り組んでみてはいかがでしょうか。

ほかにも「病院へ行く」ではなく「社会見学に行く」と考えるとストレスが軽減したりしないでしょうか。新しい解釈や違う目標を持つことで心理的な抵抗を減らすことが可能なのですから、頭の体操だと思っていろいろ違う視点で見渡す訓練をしてみるのも大切なことです。

 

関心を変える

 

今日が雨だから気分が乗らないという人は多いと思います。

これは大きなミスをおかしていることになります。なぜなら天候は自分の意志でどうにもならないからです。ですので、「雨」にフォーカスするのではなく「傘」とか「室内でできること」など対応をしっかり考えることと、「今晩の食事は何にするか」という自分の影響が及ぶことに意識を変化させていくことが大切です。

相手の行動や天候など毎回振り回される状況にならないように注意しましょう。

いくら自分が努力を尽くしても影響の及ばないもののせいで振り回されていれば、充実していた精神力も徐々に確実に削がれているものです。

 

普段の心がけ

 

趣味を持つ

 

趣味は金銭的に損しかない世界です。利益を目的としていませんし、利益に重きが置かれると遅かれ早かれいずれ仕事になってしまいます。

そういう意味で趣味は損することを学ぶ機会です。

金銭的に損することがわかってくると、それ以外の価値に気がつくものです。つまりお金では買えないものが手に入るわけです。

なかでも「与える喜び」を理解すると「儲けなきゃ」「稼がなきゃ」という呪縛から開放されます。そのように自分の欲からくる命令をコントロールできるようになると疲れ方が違ってきます。

この余裕が自分のやる気に影響します。

 

睡眠を取る

 

やる気は脳のある部分への血流の影響があると最初にお話ししました。ですから、脳の血流を安定的にすることは普段のやる気への準備に欠かすことができない技術です。

とりわけ脳と睡眠の関係は深いと言われています。

何時間眠るのが良いのか、という疑問ではなく、まず睡眠に苦労がないように定期的に眠り、定期的に起きる生活のリズムを確立しましょう。例え明日が休日であったとしても普段と同じ時間に起きることです。

このようなサイクルを安定させることもおおいに大切なことなのです。

 

甘いものを控える

 

東洋医学的に言うと、甘いもの(過剰糖分)は精神緊張を緩めるばかりか、緩めすぎてだるくなります。そして体も重く感じるようになります。

ですので、やる気がでない・無気力と感じたら糖分の摂りすぎを疑って、間食(おやつ)などを見直す必要があります。

よく「疲れたときは甘い物は回復に役立つ」と言いますが、過剰糖分はかえってだるさのもとになりますので注意が必要です。

食事に関しては味覚の偏りも注意が必要ですが、食べ方にも気を配りたいもの。咀嚼が増えれば一番最初の消化液である唾液がしっかり分泌されます。これで胃の負担が減ります。消化吸収はなかなか自覚しませんが、意外と疲れるものです。その消化の負担を減らすことは大きく役立ちます。

 

さいごに

 

鍼灸治療のあいまに説明することを今回まとめて書き出してみました。

もちろん、鍼灸治療をすると格段にやる気の回復に役立つのですが、ツボの場所や名称は情報の独り歩きになると困るのでここでは割愛しました。

足が冷えている人は間違いなくやる気を起こすのが大変な状況にあると思います。ですので、三陰交くらいは毎日お灸をしてもいいのではないかと思いますが、個別のご相談はまた別の機会を設けたいと思います。

 

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マツモト コウイチ

開業22年超の鍼灸師です。

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